ついにスポーツ再開!今知っておくべき暑さ対策!

ついにスポーツ再開できる!

シンガポールでは、6月17日(金)より、フェイズ2に移行されることが発表されました。それに伴い、5人までのグループ活動や、スポーツ施設の再開などが認められます!(原文はこちら

ただ、メディカルの立場としては、練習再開にともなって、体のことを心配してしまいます。

・体力は落ちていないか?
・暑さに体はついていけるか?
・突然動く量が増えてケガはしないか?

この記事では、「暑さ」に焦点を絞り、今知っておくべき「暑さ対策」についてご紹介します!

暑いとパフォーマンスは落ちる

皆さん、真夏では暑さに体力が削られる、といった経験は多いはず。実は、これは研究で証明されています。

同じ強度での自転車運動を行った時、気温3℃であれば80分近く継続できるにも関わらず、気温40℃では30分も継続できなかった、ということがわかっています。

画像1

(参考:JISS 暑熱対策ガイドブック(8月))

つまり、運動時間の長いサッカーやランニングを屋外で行うと、かなりばてやすい、ということです。マラソンにおいても、最も記録が出やすい気温は10-13℃であり、気温が上昇するにつれて記録が低下することがわかっています。

その理由は、暑い環境では、体温調節がうまく働かないためです。運動時には筋肉が働き、熱が作られます(熱産生)。この熱産生が大きくなると、ヒトは汗をかいたりして熱を逃がし、体温を一定に保とうとします。しかし、暑熱下では、発汗などによる体温調節が間に合わず、体温を適切に維持できないためにパフォーマンスが低下します。

また、大量の発汗によるミネラル不足や脱水によっても、パフォーマンスは低下します。湿気の多い環境では、汗をかいても蒸発しにくいため、さらに汗をかこうとして脱水症状が進みます。

つまり、シンガポールも日本も、特に暑さ対策に気を付ける必要があるということです。

暑さに体を順応させるためには?

「暑熱順化」がキーポイントになります。

ヒトの体は、暑い環境でトレーニングを継続することで、暑熱下でのパフォーマンスを徐々に高めることができます。これを、暑熱順化とよびます。

暑熱順化が起きると、同じように運動しても、深部体温の上昇が抑えられ、その分パフォーマンスを維持できることがわかっています。

画像2

(参考:トレーニング再開時の暑熱対策)

暑熱順化は、深部体温を上げることで進みます。ガイドラインによると、1日60分以上の少し息が上がるくらいの運動が勧められています。その効果は、トレーニング開始3日ほどで現れ、アスリートの場合7~10日ほどで暑熱順化できます。この準備期間中は、できれば激しい運動を避けたほうが良い期間、とも言えますね。

また、体力は人によってそれぞれです。体力に自信のない方、肥満の方、体調が悪い方は、熱中症のリスクも高いです。無理に60分運動しようとせず、こまめな休憩や水分補給を心掛けてください。

水分摂取の目安は?

ヒトの体の半分以上は、水で構成されています。暑熱順化中は、大量に汗をかくため、水分摂取は十分に行ってください。

<水分補給のポイント>
・トレーニング開始時は、普段よりも少し多めに水分を摂取
・飲料は、5-15℃であれば吸収が早い
・トレーニング中は、10-15分ごとに100-200mLずつ摂取
・運動後には体重減少の1.2倍の水分を摂取

また、水分摂取量については、個人差が大きく、あくまで目安です。
・体格が大きい
・運動強度が高い
・湿度が高い
といった場合は、目安以上に水分を摂取してください。

ただ、がぶ飲みには要注意です!ヒトの体は一度に200-250mLほどしか水を吸収できません。小まめな水分補給をしてください。

脱水状態を自分でチェックする方法もあるので以下を参考にしてください!

 ① 運動前後に体重が1%以上減少している
 ② 尿の色が濃い
 ③ のどが渇いている

画像3

(参考:トレーニング再開時の暑熱対策)

子どもは要注意!体を冷やすためのポイント!

画像4

10歳未満の子どもは、発汗機能が未発達なため、暑熱順化が起こりづらいことがわかっています。お子さんと屋外で遊んだり、スポーツ活動に励んでいる場合は、十二分に暑さ対策を行ってください!

体を冷やすためのポイントは、
・首を冷やす
・脇を冷やす
・手のひらを冷やす
のように、血液量の多い部位を冷やすことです。特に、近年は手のひらを冷やすことが注目されています。首や脇よりも表層に血管があり、効果的に全身をめぐる血液を冷やせるためです。

これは大人にも有効です。スポーツをする際は、凍らしたペットボトルを持っていき、暑さにばてる前に、首や手のひらを適宜冷やしてください!

まとめ

スポーツが再開できるとなって、とても喜んでいる方が多いはず!しかし、体をこわしてしまっては元も子もありません。

・暑熱下では運動パフォーマンスは低下する
・暑熱下で60分ほどの運動を7-10日ほど行うと暑熱順化がおきる
・脱水対策のため、水分摂取はいつもより多めに行う
・体を冷やすポイントは、首、脇、手のひら
・子どもは暑熱順化がおきづらいので要注意

以上を参考に、暑さ対策をきちんと行い、スポーツを楽しみましょう!

こちらのブログでも、同記事を紹介しています。フォローよろしくお願いします!

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。